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目次
「宇宙におまかせ」したら、不条理や失敗が待っていることもある
今回の文字起こしの要点
- 「ゆだねる」「おまかせ」とは、本来は「命懸け」「捧げる」という意味だから、安易に口にしない方がいい。
- 「ゆだねる」「おまかせ」とは、この世の成功・失敗に関係なく、人事を尽くして天命を待つ覚悟のこと。
- 「生命の根源」にゆだねる・まかせることができるほど力が湧いてくるが、これには修練が必要。
今回はスピリチュアル業界でよく言われる「ゆだねる」や「おまかせ」について、改めて考えてみます。
結論から言えば、「そんな簡単なもんじゃないよ」ということ。
というのも、「ゆだねる」や「おまかせ」とは、本来は「命を捧げる」「与え尽くす」といった言葉と同等だからです。
もっと丁寧に言えば、
おまかせとは、運命に対して、一切の不平不満を言わないこと。それどころか、いかなる苦悩をも感謝でもって頂き直すこと。
ここまで理解すれば、気安く「運命にゆだねましょう」「宇宙におまかせしましょう」と言うことはなくなる。
それでも気安く言ってたら、それこそ「お花畑スピリチュアル」ですよ。
なので、私は気軽に言うつもりは全くありません。
ただ、こういう心境に少しでも近づきたいと願うばかりです。
そもそも、よく言われていることとして、
「宇宙におまかせすれば、すべてうまくいく」
これはスピリチュアル以前に、論理的に考えてもおかしい。
「まかせる」という言葉は、普段どういう使い方をしていますか?
職場で部下に仕事を「まかせる」とか、子どもにお使いを「まかせる」とか、でしょう。
そうやってまかせた結果、いつもうまくいきますか?
……うまくいかないこともありますよね。
だって、相手は人間だもの。
まして、人智を超えた運命や宇宙は、人間ごときの思い通りにはならないですよ。
「まかせる」というのは、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。
「まかせる」そして「ゆだねる」というのは、結果が吉と出ようが凶と出ようが、そのすべてを受け入れる覚悟がなければ、本当ではないんです。
なのに、なぜ「宇宙にゆだねればうまくいく」と、うまくいく方向だけを語るんですか?
これ、おかしいんですよ。
エゴで都合よく捉えているんです。
これは全くスピリチュアルではありません。
本来は「結果の成否=この世」を超えていく境涯が、真の「おまかせ」であり「ゆだねる」ということです。
ま、上のような都合の良い言い方をしなければ、現代人の多くは受け入れられないんでしょうけどね。
「ご利益がないと困る」というわけだ。
スピ系の発信者も再生や閲覧の回数を稼ぐために、「メリット」を強調しないといけない。
その結果、本質から外れた言葉ばかりになってしまう。
だから、私はよく「スピ系のYouTubeやコンテンツばかり見ていると、アホになりますよ」と言っているわけです。
今回の例でもよくわかりますでしょ?
メリットだけを強調するような話ばかりを見聞きしていると、人間は「考える力」を失っていきます。
「宇宙さんにおまかせしたら、みんなうまくいっちゃうんだからぁ!」ってハイテンションで話す側もアホですし、それを「そうかぁ!それば宇宙の法則なのかぁぁぁ!!」と真に受ける側も、考えが足りない。
個人セッションや少人数のセミナーなどで、
おまかせとは、運命に対して、一切の不平不満を言わないこと。それどころか、いかなる苦悩をも感謝でもって頂き直すこと。
という話をして「これまで気安く『ゆだねる』とか『おまかせ』とか言ってませんでしたか?」と参加者に問いかけると、場がシーン……となります(笑)
「厳しいです……」と言われることもあります。
あなたはどう感じましたか?
まぁ厳しいっちゃ厳しいし、自分も完全に体得しているとは言えませんが、本当は当たり前の話なんです。
というか、「厳しい」とか「厳しくない」とかじゃなくて、単なる「認識の問題」ですよ。
- 運命におまかせしたら、うまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。
- 宇宙にゆだねたら、良いことが巡るかもしれないし、不幸な目に遭うかもしれない。
要は「どうなるかわからない」わけですが、これは「厳しい」とか「厳しくない」ではなく、「そういうもの」だということ。
「厳しい」と感じる大きな理由は、やはり自分に都合よく考えているということでしょう。
「宇宙にゆだねた結果、うまくいってほしい」と心のどこかで思っているから、思い通りにいかなかったときに「厳しい」と感じてしまう。
これは、エゴによって運命を正しく認識できていない証拠なんですよ。
こういう人は、全く「おまかせ」できていない、「ゆだねる」ことができていない。
おまかせした結果、ゆだねた結果、苦しい展開になってしまうこともあるんです。
その「不幸」や「不条理」も含め、しっかり肚に納めなければ、本当に「おまかせ」などできないんです。
スピリチュアルや宗教を真面目に学んでいる方でも、「おまかせした結果、ゆだねた結果、不幸になっても従容として受け入れられますか?」と聞くと、怯む人が少なくありません。
「いや、それはちょっと……きついトラブルとか災難とか、それは勘弁してほしいです……」
「できれば、無事平穏に人生が運んでほしいと思っています……」
本来は不条理や不幸に打ち克つためにスピリチュアルや宗教を学んでいるはずなんですが、そこまでの信仰・信念には至っていない。
口や頭では「世界平和」を祈りながら、本音は「自分の平和のみ」を願っているわけだ。
もちろん私たち凡人は、いざ不条理や不幸が起きると、うろたえてしまうでしょうよ。
私だって、運命の不条理に泣いてしまうときが何度もありました。
けれども、先ほども述べた通り、何が起きるかわからない「無常」こそ、運命の「常」なんです。
だから、それを正しく深く認識しなければならない。
振り返れば、人生の選択肢、例えば結婚とか就職とか、それらはすべて「答えのない問い」です。
恋愛や婚活、また天職や起業の相談において、
「本当にこの人でいいのでしょうか?」
「本当にこの会社でいいのでしょうか?」
「本当にこの道でいいのでしょうか?」
と、よく聞かれます。
「自分も林さんみたいに、スピリチュアルやセラピーで独立したい」という方もご相談に来られます。
そこで
「運命におまかせすれば、うまくいくんですか?」
「運命を信じて、天命にゆだねてやっていけば、うまくいくんですか?」
と聞かれます。
……さあね。
……そんなもん、本当のところはわからんね。
そもそも、最初から「保証」を求めるのが間違っている。
先のことは、わからない。
けれども、やるしかない。
たとえ不条理や不幸に見舞われても、必ず乗り越えてみせる。
その気概がなければ、安易に「おまかせ」や「ゆだねる」を口にしない方がいいですよ。
そうして沈黙する中から、本当に「まかせて」「ゆだねる」その覚悟が生まれてくるんでしょう。
ゆだねる・まかせるとは、「生命の根源」に自己を没入させること
私も『禅タロットリーディング』という占いをするので、自戒を込めて言います。
多くの人は、占いに「安心」を求めます。
「背中を押してほしい」わけです。
「あなたなら、きっとうまくいきます」って、"お墨付き" が欲しい。
私はどうか分からないけど、「権威っぽく見える人」から、太鼓判を押してほしいわけですよね。
それは自分の人生の選択を、相手に "ゆだねている" ということです。
いま「ゆだねる」という言葉が出ましたけど、この「ゆだねる」って……
依存ですよね。
「おまかせ」とか「ゆだねる」とかスピっぽいことを言っていても、それって単なる依存じゃないの?
もちろん、「おまかせ」や「ゆだねる」は、依存ではありません。
本来は「命懸け」なんです。
「運命に、我が命運を賭ける」という、すさまじく積極的な行為なんです。
自分の運命なんだから、「自分の自己責任で決める」のは当たり前のこと。
私はタロットを通じて「考えるヒント」はご提供しますが、最終的に決めるのはクライアントです。
でも依存心のある人ほど、ゆだねることは不可能です。
だから、「ゆだねたら、おまかせしたら、いいことありますか?」と確認したがる。
知らねーよ、そんなもん。
でも、どうなるかわからない運命に、失敗や不幸をも覚悟して突撃するから、力が出てくるわけです。
これが「おまかせ」や「ゆだねる」ということの、"真のご利益" なんです。
この世での成功も失敗も関係ない。
自分が天命だと信ずることに、人事を尽くしてゆく。
これが「真のスピリチュアル」、マジスピなんです。
その結果――あくまで結果ですが――うまくいく場合もあるということです。
でもそれは「おまかせしたから、うまくいった」というより、覚悟を決めて人事を尽くしたから(たまたま)うまくいった、ということです。
ガムシャラに突っ走った結果、うまくいった事例はいくつもありますよね。
もちろん、それで失敗することも多々あるだろうけど、そんなもん関係ないんです。
むしろ、失敗したときの方が「魂の学び」は深い。
だから、この世においてどう転がろうとも「おまかせ」して「ゆだねた」人は、"魂の勝利者" なのです。
「普通のスピリチュアル」では、これらを都合よく切り取って
「宇宙にゆだねれば、すべてうまくいく」
って言ってしまう。
そうやって期待を持たせてしまうのが、アホの始まりです。
そうじゃなくて、これを正確に言えば、
「ゆだねれば、おまかせすれば、うまくいくかも……そうねぇ、うまくいくこともあるかもしれないよね。知らんけど!」
ということです(笑)
要は「挑戦的な生き方」をしたければ、本当の意味で「おまかせ」や「ゆだねる」が必要なんです。
失敗を怖れない人ほど、強いものはないですからね。
こういう人は、バッターボックスに立つ回数が多いわけです。
で、毎打席においては全力でバットをブンブン振るわけでしょ。
だから空振り三振も多いでしょうけど、ヒットもホームランも確率的には増えていきますよね。
その結果として、現世的に、物質的に、社会的に、経済的に、うまくいく可能性は高まるということ。
そういった意味では、普通の意味での「ご利益」はあるでしょう。
それほど本気でやる人はとても少ないんだから、ガチでおまかせできたら、この世的にも成功する可能性は高いと思いますよ。
でも、地上的な成功を最優先では求めないよ、というのが「ゆだねる」ということです。
私にしても、10年続けてきたこの仕事のスタート地点を振り返ると、「失敗してもいい」……「最悪、死んでもいい」と覚悟してやってきました。
「必ずうまくいく」「願いは叶う」なんて普通のスピリチュアルや自己啓発が言いそうなフレーズは、一言も思っていなかったです。
決して夢や希望に燃えていたのではなく、負け戦に出るような悲壮感がありました。
だって、「真のスピリチュアル」の理念に耳を傾けてくださる真摯な方なんて、ハッキリ言って「少数民族」じゃないですか(笑)
多くの人は「ご利益宗教」「ご利益スピリチュアル」を求めているんですから、そりゃ簡単にうまくいかわけがないのはバカでも想像できます。
でも、最初から失敗や敗北を織り込んだ上で始めたことが、結果的には「おまかせする」「ゆだねる」ことになったのだと思います。
ですから、ちょっとうまくいかない程度では挫けませんでした。
「うまくいかなくて当たり前」だと思っているので、淡々とやるしかなかった。
もし「ゆだねたら、すべてうまくいく」なんて最初から期待していたら、とっくに挫折しとるわい。
ほんと、「普通のスピリチュアル」ではなく「真のスピリチュアル」(マジスピ)の腹積もりをしておいて良かったよ。
というのは、真の「ゆだねる」や「おまかせ」とは、自分の小さな肉体の命、限られた命を、大宇宙・大生命という「無限なる生命」の中に没入させることなんです。
この「分離」された地上世界において、"魂の故郷" に己の生命を「統合」させるということなんです。
だから、本当にゆだねている人は、おまかせできている人は、強いのです。
もちろん、本当にゆだねることは簡単じゃないですよ。
やはり修練が必要です。
坐禅を組むのもいいし、祈りや瞑想をするのもいい。
いや、日常的には「仕事に一心不乱に打ち込む」ということも、「おまかせ」の修練にはぴったりです。
結果がどうであれ全力を尽くすというのは、「人事を尽くして、天命を待つ」という立派な行いですから。
これは一朝一夕にはできない。
やっぱり10年、20年と、それなりに時間がかかるのではないでしょうか。
まぁ……そもそも「仕事に打ち込む」ということ自体、現代では敬遠されるようになりつつある時代ですから、そもそもスタートラインにすら立てない人は、決して少なくないでしょう。
難しい時代だな……
そういう人は「宇宙さんにおまかせしたら、みんなうまくいっちゃうんだからぁ!」と言われた方が、きっと気持ちいいのかもね。
私はイヤです。
そんなウソの言葉には、耳を傾けない。
宇宙にゆだねれば、うまくいくとか、うまくいかないとか、ではない。
うまくいってもいかなくても、「生命の根源」という果てしない何かを常に見上げること。
それが、浄土宗・浄土真宗で言うところの「全託」――すべてを託するということです。
ご参考になれば幸いです。
なお、今回のYouTube(Podcastラジオ)では、この文字起こしでは述べていないことも含まれています。
最後の方に浄土真宗の開祖・親鸞の言葉について話した部分は、この文字起こしにはありません。
よければ、この文章とあわせてご聴取いただけたら幸いです。
改めて、今回の文字起こしの要点
- 「ゆだねる」「おまかせ」とは、本来は「命懸け」「捧げる」という意味だから、安易に口にしない方がいい。
- 「ゆだねる」「おまかせ」とは、この世の成功・失敗に関係なく、人事を尽くして天命を待つ覚悟のこと。
- 「生命の根源」にゆだねる・まかせることができるほど力が湧いてくるが、これには修練が必要。
なお、YouTube(Podcast)は今回の文字起こし編集でカットした部分もあります。
なのでこちらも聞いていただけると、より理解が深まります。
※この下に「音声プレーヤー」があります。倍速再生も可能ですし、YouTubeより通信量も少ないし、スマホを画面オフにしても聴けるので便利です。
