スピリチュアルカウンセラーの林 昭裕です。
【マジスピ】(真のスピリチュアル・脱お花畑スピリチュアル)をテーマに情報発信しています。
このページでは主に占い師(または霊能者・スピリチュアルカウンセラーなど)による「スピリチュアルビジネスへの批判」を、かつて占い業界に所属していた実体験に基づいて展開しています。
今回は
- 占い相談者の心理
- 占い業界の構造
- 占い師の実態
の3部構成のうち、
②占い業界の構造
について述べていきます。
前回 ①占い相談者の心理 については以下をご覧ください。
目次
占いで大切なのは「当たるか 当たらないか」ではない?
占い師は「あなたは将来こうなるでしょう」「3ヶ月ほど先に出会いがあると思います」などと、割と強めに鑑定結果を伝えることが多い。
本来は「未来のことなど誰にもわからない」のに、そう言ってしまう。
こういう「占い師のスタンス」の背景には何があるのでしょうか。
それについては、過去に知り合った「某占いサイト運営会社」の幹部マネージャーの方から直接聞いた話をご紹介しましょう。
その方は占い師の採用をされている方で、裏話をいろいろ教えていただきました。
こんなことをおっしゃっていました。
「別に占いの結果が外れたって、あまりクレームにはならないんですよ。
だって、そういうのは『当たるも八卦、当たらぬも八卦』ですからね。よほどヘンな人でないなら、それはわかってますよ。
だから、もちろん会社によって方針は違うんですけど、少なくともウチの占い師さんには『正しいとか間違いとかじゃなくて、鑑定結果は思い切って伝えてください』ってお願いしてるんです。
結局、占いに来るお客さんってのは『自分に自信がないから背中を押してもらいたいだけ』なんですよね」
とのことでした。
占いへの真のニーズは「当たる鑑定をしてもらいたい」ことではなく、「背中を押して欲しい」ということなのです。
一見すると「当たる鑑定は良くて、当たらない鑑定はダメだ」と思うかもしれません。
でも、これは的を得ていない。
なぜなら、もし「めっちゃ当たる鑑定」があるとして、「あなたの運気や運勢や最悪。恋愛運も金運も全くダメ。最後は悲惨な最期を遂げて●●に落ちるわよ!」なんてズバリ言われてしまったら、どうリアクションしたらいいのでしょうか。
あなたがそう言われたら、恐怖ではないでしょうか。
もちろん良いことだけ言われてそれが全部「めっちゃ当たる」としたら結構なことですが、常識的に考えて「良いことづくめの運勢」などあり得ないし、そもそもそんなツイてる人は占いになど絶対行きません(笑)
そう考えれば、むしろ「占いは当たらない方がいい」のではないでしょうか。
未来のことは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と曖昧にしておいた方がいいし、本当はそれが古来からの「人生の智恵」ではなかったでしょうか。
(という観点から、私は「当たる当たらないを超えた、相談者自身が内側で深く考える『禅タロットリーディング』」を提唱しています)
結局、自分の人生の意思決定を他人に委ねることが、根本的に間違っているのです(占い会社はその依存心を利用して儲けるわけですが)。
とはいえ、「背中は押して欲しい」わけですよね。
一人 "だけ" で、決めたくない。判断したくない。決めた責任を負いたくない。
そのニーズがあるから、占いの運営会社は所属占い師に「鑑定結果は言い切ってください」と指導するのです。
ただしデタラメに言い切ること、いい加減に背中を押すことは難しいので、占い運営側は「怖いほど当たる」「類まれなる霊能力」「ベテラン鑑定士(鑑定師)が勢揃い」などという演出を凝らすことになるわけです。
(先ほど述べた通り「怖いほど当たる」のは本当は手放しで喜べることではないものの、相談者の多くは当初それを「信頼できそう」と受け取ります)
なお、占い運営会社による「この先生の鑑定歴は10年」などというベテラン感のアピールの多くはウソだと断言します。
実際はまだ占いを勉強したばかりか、せいぜい数年の経験者が大半だと知っておきましょう。
なぜなら、もしガチで10年以上の経験者を募集したら、そもそも人が多く集まらないからです。
先のマネージャーさんもおっしゃっていましたが、質の高い占い師を確保することは会社の至上命題であり、結構苦労しているそうです。
面接の時間になっても現れない人も結構いるとか・・・。
(最近ではオンライン面接がメインになったので以前よりラクにはなったそうですが、それでも時間になっても出ない人がいるようです)
一方、本当にベテラン占い師を募集すれば高いコスト(高い人件費や優遇条件)が発生するので、そんなもん普通の占い会社がするわけないじゃないですか。
占いの初心者の中でそれなりにコミュニケーションスキルがある人を集め、それを「ベテラン鑑定士」に擬態させて売り出すのが常套手段です。
何しろ、この私もまた「占い歴10年未満」だったにもかかわらず、かつて所属した団体では「鑑定歴10年のベテラン」として紹介されたのですから!
それをマネージャーさんに言ったら、
「うーん・・・まぁどこもやってるでしょうからね・・・」
と苦笑しておられました。
占いが怪しい・うさんくさい・インチキと思われる理由
占いへのニーズには「背中を押してもらいたい」だけでなく、
「ただ話を聞いてもらいたい」
というものもあります(利用客のメインは「ただ自分の気持ちをわかってほしい」傾向が強い女性なので)。
実は鑑定スキル以上に大切なのは、当たり前のことですが「コミュニケーションスキル」です。
上で紹介した占い会社のマネージャーさんも、「まともに会話できない人も結構いるので、占い師の面接ではそこを最も重点的に見ます」とおっしゃっていました。
そう、「それなりに会話ができる人」であればいいのです。
ただそれは理想であって、実際は心配な人もいます。
私のところにも、「占い師の●●先生はちょっと何言ってるかわからない」という不満の声が何件もあったぐらいですから(所属している占い組織の他の先生の愚痴を言う人もいました)。
そもそも「占いを仕事にしよう」と思っている時点で、世間的には "ちょっと変わっている" と思われるのですから、それを補うだけの常識とコミュニケーションスキルがあるかどうかが問われます。
実際、相談者からのクレームの本質は「鑑定が当たらなかったこと」もあるでしょうが、その根本には「コミュニケーション不全」がある。
そこで占い会社としては、本来「鑑定スキル」と「コミュニケーションスキル」は相容れないにもかかわらず、「怖いほど当たる」「類まれなる霊能力」「ベテラン鑑定士が勢揃い」と強くアピールしておくと、素人の相談者の中には「ちゃんと話も聞いてくれそう」というふうに "優良誤認" する人も出てくる。
実際、相談件数の多い「恋愛」「不倫」「家庭内のドロドロ」などは知人・友人に相談しにくい。
そこで心理カウンセリングの出番と言いたいところですが、日本は欧米ほどそれが一般的ではない(また日本では修練不足の「なんちゃってカウンセラー」も少なくない)。
誰か相談相手を探した結果として一部の人は占いに行くわけですが、そこで「選りすぐりの鑑定士」なんて宣伝されたら、「ここだとちゃんと話を受け止めてもらえるかも」と誤解する人も出てきますよね。
悩みが切実であればあるほど、「スゴそうな人に話を聞いてもらいたい」のは当然のことです。
客観的に見れば占いの広告なんて「怪しい」「盛り過ぎ」「うさんくさい」と感じるでしょうが、依存心の強い人ほど逆にそちらの方が「頼れそう」に思えるのです。
別に万人にウケる必要はない。
不思議なこと、スピリチュアルなことに関心がある人、その中でも特に依存心の強い人や、誰にも打ち明けられない悩みを抱えている人をターゲットにすればいい。
だから「普通の人」が占い広告を見ると「怪しい」と感じるわけですが、そもそもその人はターゲットではないのです。
そういえば私が独立する前、某「経営コンサルタント」の個人セッションを受けたことがあります。
その方はコンサル対象をスピリチュアルやセラピーの業界に特化し、「ある有名な人」をプロデュースした経歴で知られています。
たまたま近くで個人セッションがあるという情報を得たので、結構な金額でしたが、思い切って受けてみたのです。
その方から「売れるため一番大切なこと」として言われたことは、
・「『それっぽい格好』をしなさい」
・「『売れている人間』のように演技をしなさい」
・「結局人は『見た目』で判断するのだから」
というものでした。
『それっぽい格好』というのは、「スピリチュアルカウンセラーや占い師 "っぽい" 格好」ということであり、ちょうど占い広告に載っているような格好です。
占い広告なんて、そのまんまコレをやってますよね。
しかし、当時の私は断固として拒否しました。
なぜなら「あんな『怪しい連中』の一人になってたまるか!」という気持ちの方が圧倒的に強く、「見た目ばっかり気にかけてどないすんねん!アホか!」と率直に感じたからです。
その思いは今でも全く変わりません。
まぁ振り返ると、「まるでそうであるかのように振る舞う」というのは自己啓発のテクニックの一つだということは理解しているのですが、どうしても人を上っ面で騙すというか、相談者をバカにしたような感じがしてしまい、私はどうしてもできません。
外見なんて個人的には清潔感がないとか、死ぬほどダサいとか、TPOを弁えていないなど「マイナスにさえならなければいい」と思っています。
大切なのは、当たり前のことですが中身や内容でして、そんな上っ面でごまかせると踏んでいること自体、愚かなことではないでしょうか。
ちなみに余談ですが、その「某コンサルタント氏」の波動(オーラ)を拝見すると、なかなか重たい。
やっぱり上っ面のテクニックだけで満足していたらダメですよ。
初めて個人セッションを受けてから15年以上経った現在でも活動しているようですが、ダメなものはダメなのです。
実力ある占い師の大半は独立している。団体所属ではあまり稼げない。
私が占いの組織に所属して驚いたのは、それぞれの占い師が「超常的な能力者」としてPRされていることでした。
「すべてを見通す霊的能力」「奇跡を起こす神通力」など、あり得ない文句がズラリと並んでいる。
試しに、ネットで占いのサイトを見てみてください。
そこには「開運成就」「縁結び祈願」「縁切り成就」「思念伝達」「想念書き換え」「成り代わり」「引き寄せ祈願」「子授け成就」などのフレーズが踊っていました。
「成り代わり」(=イタコ芸)や「想念書き換え」って何やねん・・・ホンマにできるんか?
「好きなあの人の気持ちをワタシに振り向かせてください」というエゴイスティックな相談に対し、占い師が「想念書き換え」を発動したら振り向いてしまった・・・なんてあるかいなボケ。
と私でもツッコミを入れたくなるような「ファンタジー」であふれているのですよ。
サプリなら「末期ガンもすぐ治ります」とか「骨折もすぐに治ります」とか言っているようなものではないでしょうか。
それが逆に面白くなってきまして(笑)そういう「超常的能力」を謳っている(運営会社から謳わさせられている)占い師の波動を観てみると、やはりと言うべきか、軒並み「重たい」のですよ。
まぁ普通に考えれば「こんなの絶対あり得ない」とわかりますからね。
逆に言うと、占い業界はそういうのがまかり通ってしまう特異な世界だということです。
もし百万歩譲って、本当にそんな「超特殊能力の持ち主」だとしたら、報酬の安い占い会社にずっと所属しているわけがない。
本当に実力のある占い師は、必ず独立しています。
独立した方がずっと儲かるし、かつ自分に合ったクライアント(相談者)にも恵まれるからです。
占い会社によって多少の差はあっても、鑑定料の7~8割は会社に持っていかれると思って良いでしょう(看板占い師はもう少し優遇されていると思いますが)。
(私の場合は鑑定料の約8割を会社に持って行かれました。しかもこれは実働時間に対してですよ。待機時間は報酬ゼロです)
確かに所属するメリットは「会社が集客してくれること」ですが、それだけ「スゴい能力者」なら独立しても集客にはあまり苦労しないはず。
もちろん優れた占い師でも「集客やマネジメントは超苦手だから、現実的に面倒なことは会社に丸投げしたい」という方もおられるでしょう。
実際、芸能プロダクションに所属しているごく一握りの占い師は、広告塔として活躍する代わりに、例外的に高い報酬をもらっています。
ただ、それでも上記の通り占い会社は「ありえない神通力」をPRして集客するため、その波動に合った「依存的な相談者」も集客してしまう。
そういうお客は相手からエネルギーを吸い取りますから、話をした占い師の大半はとても疲れます。
私のところにはときどき「占いに来た質の悪い客の愚痴を言うだけのために」カウンセリングにお越しになる占い師の方がおられます。
また、定期的に「充電」と称して『宇宙ヒーリング』というメニューを受ける方もおられます。
中にはモンスタークレーマーみたいなお客もいますので、そういう人に接客するとマジで疲れてしまう。
そういう縁ができてしまうのは「占い会社の波動」で集客しているからであって、「自分の波動」で過大広告せず誠実に集客すれば、もっと質の高い相談者が来る可能性が高くなる。
だったら、独立した方がメリットが大きいではありませんか。
私みたいな大能力者ではない人間ですら独立できているのだから、まして本当に「類まれなる神通力」「怖いほどよく当たる鑑定力」があるなら、早く独立しなはれ。
そんな安い報酬で肉体労働するより、よっぽどええぞ。
(占い師は立派な肉体労働です。座りっぱなしで腰を痛めている人を何人も見てきました)
というわけで、今回は占い運営会社の幹部マネージャーさんから直接聞いた話と自分の現場体験をもとに、占いの広告や宣伝のウソについて述べてみました。
ご参考になれば幸いです。
次回は
③占い師の実態
について述べる予定です。お楽しみに。
なお、前回の「①占い相談者の心理」については以下をご覧ください。