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目次
スピリチュアル・エマージェンシーとは、覚醒・悟りと似て非なるもの
今回の文字起こしの要点
- スピリチュアル・エマージェンシー(SE)とは、急激な霊的な変化によって心身に混乱をきたす【霊的な危機】であり、学術的にも研究されている。
- 「圧倒的な光に包まれた」「神仏が見えた」という霊的な体験を、安易に悟りや覚醒と混同しないこと。霊的な成長は一歩ずつ起こるもの。
- SEは幻視・万能感・体調不良・価値観の崩壊など常識を超えた症状に陥ることがあるので、専門家に相談した方が無難。
- SEと似た言葉に「スピリチュアル・エマージェン"ス"」がある。これは比較的穏やかな変化、ちょっとした体調不良が伴う【霊的な発現】のこと。上手に付き合えば健全な霊的成長につながる。
今回は「スピリチュアル・エマージェンシー(SE)」、心理学の概念についてお話しします。
学術的な用語ではありますが、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。
簡単に言うと「霊的な危機」のこと。
エマージェンシー(Emergency)とは、「緊急事態」「突発的な危機」「危険」のことです。
この言葉は、心理学の中でも「トランスパーソナル心理学」という分野で使われるものです。
だいぶ前に一度、このマジスピラジオでも少し触れたことがありますが、今回はそれを深掘りしていきます。
なぜ今回このテーマを取り上げようと思ったかというと――実は(収録時点においては)体調がちょっと良くないんです。
普段はかなり健康で、もう20年弱も病院に通ったことがない私ですが、実はここ一週間ほど、胃腸の調子がよくありません。
また、この収録直前にも、「胸のあたりがキューッと締めつけられるような感覚」がありました。
それで、収録の直前まで静かに瞑想していたんです(結構ラクになったので、またぶり返さないうちに収録しています)。
おそらくこの前の7月1日で開業10周年を迎えたことで、意識がかなり変わったんでしょう。
それに伴う体調の変化ではないかなと、勝手に、あくまで勝手に思っています。
これを「覚醒」とか「目覚め」とか、あるいはその前兆だとか、安易に言いたくありません。
こういうことがあると、スピリチュアル界隈では「パラダイムシフト」などと横文字を使ってカッコよく言う人もいますね。
でも、そういう人に限って、波動がショボいんですよ……可哀想なぐらい。
私は人の波動(オーラ)を観る人間なので、すぐ「あ、コイツ盛ってるな」とわかってしまいます。
そもそも「覚醒」や「悟り」なんていうのは、無限に続いてゆくプロセスに違いありません。
なので、安易に「目覚めた」なんて言わない方がいいですよ。
収録時点の私のように、小さな体調の変化だったらまだいいのですが、中には先ほど述べた「霊的危機」のような大きな混乱が生じる場合があります。
それを「スピリチュアル・エマージェンシー」と言うのですが、今回はその説明です。
YouTubeだと今回はメモ帳のテキストを映しています。
ちょっと学術的な説明も入りますので、テキストを見ながらだとより理解が深まるかと思います。
※今回使った資料は以下からダウンロードできます
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さて、多くのスピリチュアル系は「波動を上げましょう」なんて言います。
「波動を上げれば、すべてうまくいく」
「波動を上げることで願いが叶う」
なんてね。
でも、それは軽い表現だと思っています。
本当に「波動が上がる」というのは、それ相応の苦痛や困難が伴うものです。
筋肉にたとえるなら「筋肉痛」です。
筋肉痛を経て筋力が上がるのと同じで、霊的な資質が深まるときも、必ず痛みを伴います。
それは「楽しい・嬉しい・ワクワク・幸せ」といった、「快の感情」ばかりを追いかける "普通のスピリチュアル" とは全く違いますよ。
重要なのは、人生で起こる困難や苦悩を「成長・成熟の糧」として、まっすぐ受け入れること。
そして、感謝の念を持って引き受けていく姿勢です。
それが真のスピリチュアル(マジスピ)なんです。
これから説明する通り、「スピリチュアル・エマージェンシー」は大きな苦痛を伴うこともあるのですが、「ワタシは覚醒した!」と安易に解釈することなく、冷静に見ていかなければなりません。
改めて、「スピリチュアル・エマージェンシー」を定義しておきます。
スピリチュアル・エマージェンシー(SE)とは、「個人が急激な霊的覚醒や意識の変容体験(っぽいもの)を通じて、お大きな内面的危機に直面し、一時的に日常生活や心理的バランスを保てなくなる状態」のこと。
ここでは「っぽい」という部分が大事です。
一見すると大きな覚醒や変容なんですが、実際は膨張(インフレーション)ではないかと疑うべきです。
経済がインフレになったときは、お金の価値は減っていますよね。
それと同じように、「見た目の価値の上昇」と「実質的な価値」とを混同しないことです。
スピリチュアル・エマージェンシーで起こる危機症状とは
SEの中には、例えば急激に「光に包まれた体験」をするケースがあります。
これはスピリチュアル的なものを求めていると、ときおり起こり得ることですね。
瞑想なんかしていると、「光を見たような感じになる」ことは、私でもあります。
慣れてくると「光を見る」ぐらい別に大したことではないんですが、中には強烈に「光の体験」をする人もいるわけです。
「まばゆい光」を見てしまった瞬間、もうその世界に入り込んでしまって、これまでの普通の日常生活が送れなくなる、ということもあります。
あるいは、その光の体験があまりに荘厳で素晴らしいので、逆に日常の「薄汚いこの世界」がイヤになるケースもあります。
それは「統合失調症」と紙一重かもしれません。
実際、SEに理解のない診療内科や精神科に行くと、病院にそのまま収容されてしまうという可能性もあるんですよ。
もちろん、多くの人はそこまでには至らないとは思いますが、知識としてこうしたことを知っておくことは決して無駄ではありません。
では、SEの症状や体験について、他にもいくつか挙げていきましょう。
次は「神秘体験」です。
これは「ワンネス的な感覚」や「宇宙との融合」を感じるということが考えられます。
この世界と自分がひとつになったような、そういう感覚。
それはもちろん悪くはないんですけど、私は「打ち上げ花火」みたいなものだと思っています。
一発の大きな体験をもって、それを「覚醒」や「悟り」だと錯覚してしまう。
まさに「スピリチュアル一発屋」ではないでしょうか。
私がそういう人を観ていると、やっぱり波動がショボいと感じますよ。
早とちりするんじゃねーよ、子どもじゃないんだから。
そういう体験があったとしても「そういうこともあるよね」と冷静に受け止めるのが、「スピリチュアル・リテラシー」というもの。
他には「現実感の喪失」や、「時間・空間の感覚の変容」というのもあります。
この3次元の世界では、〈過去→現在→未来〉というように時間が流れているように感じます。
でも本来は、「いま・ここ」しかない。
突き詰めれば、「"いま・ここ" ですら無い」というような感じ。
この時間感覚から脱した感じもワンネス的な感覚として挙げられます。
次に、「強烈な感情の噴出」があります。
恐怖、孤独、怒りなど、普段は心の底にあるネガティブな感情が一気に出てくる。
これが強すぎると、精神病棟に入れられてしまう危険があります。
実際、私にも少し経験があります。
恨みつらみがあるわけではないのに、なぜか「親を殺したくなるような感情」が一瞬湧いてくることがありました。
あるいは、こちらはポジティブですが、「自分は何でもできる」という万能感が急に出てきたり。
こうした普段は意識しない無意識や潜在意識にある感情が、爆発的に出てくるんですね。
それがものすごい快感であることもあるし、逆にものすごく不快な場合もある。
どちらに転ぶかはその時次第です。
さらに、「信念や価値観の急激な変化」も。
これはSEの中でも非常に危険な兆候です。
価値観や信念というのは、本来ゆっくりと変化していくものです。
もちろん、ときには「大きな気づき」が起きて、ガラッと変わることはあります。
でも、それはたいてい、小さな気づきが積み重なってきた先にあるものなんですね。
だから、そのプロセスを踏まずに、突然大きく変わってしまうというのは、やはりリスクが高い。
たとえば、宗教の教祖になってしまうような人も、こうしたプロセスを経ていない場合が多いかもしれません。
「光を見た」「天使が現れた」――そんな体験をきっかけに、急に宗教を始める人もいますよね。
まあまあ、焦らず、落ち着いて、まずは深呼吸しようか。
……まあ、落ち着けないからSEなんですけどね。
あとは、「肉体感覚の異常」や「熱感やエネルギーの流れの変化」。
私がいま感じている胃腸の不調や胸の締めつけはSEではなく、後で説明する穏やかな「スピリチュアル・エマージェンス(霊的発現)」の方ではないかと感じています。
これが、大きく強く出てしまうとマズい。
暑い季節なのに、全身モコモコでも何も感じない。
寒い季節なのに、パンツ一丁でも全く平気。
長らく修行した人がこういう境地に至るのは珍しくないですが、急にこうなるとやっぱり非常識です。
また、「アイデンティティの崩壊」。
これまで「これが私だ」と思っていたものが、ガラガラと崩れ去ってしまう。
これもなかなかマズいですね。
さらには「見えない存在との接触感覚」や「幻視体験」もあります。
こういうレベルになると、自分ひとりで受け止めるのは難しいでしょう。
これは真っ当な霊的感覚なのか、それとも禅の世界でいう「魔境の世界」なのか……この見極めは非常にシビアです。
こういうときはポジショントークになってしまいますが、信頼できるスピリチュアル系のカウンセラーやセラピストに相談することが大切です。
スピリチュアル・エマージェンシーが起こりやすい状況
SEは、突然、ふとしたときにやってくることもあります。
また、瞑想やヨガ、断食などの精神修行を急激に行ったとき、SEが起こることがあります。
それに戸惑う人もいるだろうし、内心で密かに喜んでいる人もいるでしょうけど、いずれにしてもあまり良いとは思いません。
私も断食の真似事は何度かやったことがあります。
以前のYouTube動画でもお話ししたことがありますね。
そのとき、空気中の「氣(プラーナ)」がホタルのようにスーッと見えたことがあるんですね。
これは「波動が見えた」のではなく、「しっかり肉眼で見えた」ということです。
これは穏やかな体験だったのでSEではないと思いますが、これが爆発して魑魅魍魎の世界が見えてしまったり、逆に天使や妖精の世界が見えてしまうこともあるでしょう。
これがさらに進むと、「観音様が目の前に現れた」という場合もあり得ます。
これが永年の修行の後に起きたことなのか、先ほど述べた瞬間的な打ち上げ花火なのか。
多くの場合は、後者だと断定して間違いありません。
他には、トラウマ体験や大きな喪失感――特に死別――を体験したときは、SEが起こる場合があります。
死別によって悲嘆に暮れているとき、人は「あの世」の存在を強く意識します。
もう肉体のない存在になってしまった相手は、どこに行ったのか。
あの世は本当にあるのか。
これは人間が古来より問い続けてきた、根源的な問いでもあります。
そうしたとき、SE的な状態になることがあるんですね。
こういった体験は日常ではまず起こらないので、精神的な病気だと見なされがちです。
そして、理解のない医師のもとに行ってしまうと、精神病院に入れられてしまうリスクもある。
これは実際、過去にご相談を受けたことがあります。
この場合は、おそらく「憑依現象によるSE」だと思われます。
たとえば、あるお子さんが突然、気が狂ったような状態になり、精神病棟に入れられてしまった。
そのときに、たまたま縁あって、ヒーリングのご依頼をいただいたことがあります。
急激に子どもの人格が変わってしまったので、ご両親が大変戸惑われていました。
そこで、仕方なく精神病棟に入院させたということです。
幸い、ヒーリングの効果かどうかは科学的には証明できませんが、その方は無事に退院されました。
スピリチュアル・エマージェンシーの対処法
- 意味のある変容として受け止めること
- 安心できる環境を確保すること
- 意思の力で無理に抑えつけないこと
- ジャッジを下さず瞑想すること(熟練者向け)
- 信頼できる専門家に相談すること
- 日常生活のバランスを保つこと
こういった急激な変化が起きたときは、「これは意味のある変容であり、変わっていくプロセスなのだ」と、まず深く理解し、受け止めることが大事です。
ただ、インパクトが大きいほど受け止め切れないので、その場合は心ある専門家――正直、SEのことを心得ている人は少ないと思いますが――に相談された方がいいと思います。
もうひとつ大事なのが、「安心できる環境を確保すること」です。
ただ、これもなかなか難しいでしょう。
正直、最も身近なご家族の中に、こうした霊的な事柄に関心のある人は少ないはずですから。
先ほども述べた通り、お子さんがいきなり憑依的なSEになったとき、家族は慌てるはず。
「何か変なものが憑いているのでは……」とか、「キツネ?タヌキ?」みたいな発想になってしまう。
それで、怪しいスピ系に高額でお祓いをしてもらっても、何の効果もない……
(これはときどきご相談いただいています。1回30万円で何度か「除霊」してもらったけど何も変わらなかった……というケースもありました)
そうなると、本人は周囲の無理解にさらされ、さらに孤立してしまいます。
本当に難しい問題です。
SEの当事者が「意思の力で無理に押さえつけないこと」も大事です。
突発的に起こることなので、簡単に止めることはできないでしょう。
ただ、もし瞑想や座禅などに習熟している人であれば、それを丁寧にやってください。
私も先ほど、SEほどの大きな兆候ではありませんが、心臓が少し締めつけられるような感覚があったので、しばし瞑想をしました。
それで少し落ち着いたので、いま収録ができているわけです。
瞑想では、SEの状態に「いかなる批判・非難・ジャッジを下さずに観察すること」です。
これは相当慣れていないと難しいですが、できるのであればやってみてください。
それから、「信頼できる専門家に相談すること」。
理解のあるセラピストや、経験豊富なスピリチュアル・ガイドの存在は重要です。
何しろ、わけのわからないことが起きるわけですから。
もし私でよければ、波動(オーラ)は拝見できるし、ヒーリングもできますので、お役に立てるかと思います。
もちろん「見える・見えない」は関係なく、探せば理解のある方はいるはずです。
また、とても大切なこととして、「日常生活のバランスを保つこと」。
何度か述べている通り、特殊な現象が起こっているからといって、自分を特別視してはいけません。
なるべく、普通の生活を大事にしてください。
さきほど断食の話もしましたが、これは不自然な行動ですよね。
難病治療として断食をすることもありますが、これは専門家のしっかりした指示の下に行うことです。
変にスピリチュアルが好きだったり、「悟りたい」「覚醒したい」といった欲望――これはエゴです――に飲まれると、おかしな方向に行ってしまうので注意が必要です。
霊的に敏感な人だと、低級霊の類による憑依によってSEが起こることもあるので、興味本位に傾くのは強く戒めましょう。
【補足】穏やかなスピリチュアル・エマージェンスについて
最後に補足ですが、よく似た言葉として「スピリチュアル・エマージェンス(Emergence)」というのがあります。
スピリチュアル・エマージェンシー(Emergency)は霊的な緊急事態のことでしたが、エマージェンスはもっと穏やかな状態です。
エマージェンスは、日本語では「発現・出現」という意味で、噛み砕いて言うと「何かが現れ始めること、または新しいものが生まれる状況」を指します(もっと調べてみると「覚醒」という意味もありました)。
私がいま抱えている胃腸のちょっとした不調や胸の締め付けは、エマージェンス的な比較的穏やかな「変容のプロセス」だと自己認識しています。
実は去年も原因不明の「ちょっとした身体症状」がありました。
半年ほど「後頭部が圧迫されるような感じ(痛みまではない)」とか、半年ほど「咳と痰が止まらない」とか。
日常生活に支障が出るほどの負荷ではないのですが、何かしらの精神的な変化の兆候として、こういう身体症状が出ることがあります。
これを内観して上手に付き合っていけば、健全な霊的成長につながっていきます。
このあたりのことは、以下のブログに書いています。
植物を見ていてもそうですが、急激に成長してしまうとひょろ長くなってしまって、根っこが細くなったり、幹が弱くなったりします。
そうではなく、多少の痛みを伴いながらも、それに耐えられるくらいのペースでゆっくり変化していくのが一番いいですね。
エマージェンス的に、ちょっとした "打ち上げ花火" を見て「悟った!」「ワンネスを体得した!」などと大げさにブログや本やYouTubeで語るスピリチュアル系の人たちもいますが、そういう人ほど波動はダメです。
先ほど述べた通り、「覚醒」や「悟り」があるとしても、それは “無限”に続くプロセス" なんです。
ちょっと変化したくらいで「すごいことが起きた!」と舞い上がること自体が、すでに未熟である証拠です。
以上、SEは多くの人には起こらないかもしれませんが、万が一そうなったときには、今回の話を思い出していただければと思います。
今回はやや小難しかったですね。
文字起こしがいつもより長くなってしまいましたが、ここまで忍耐して読んでいただき、ありがとうございました。
改めて、今回の文字起こしの要点
- スピリチュアル・エマージェンシー(SE)とは、急激な霊的な変化によって心身に混乱をきたす【霊的な危機】であり、学術的にも研究されている。
- 「圧倒的な光に包まれた」「神仏が見えた」という霊的な体験を、安易に悟りや覚醒と混同しないこと。霊的な成長は一歩ずつ起こるもの。
- SEは幻視・万能感・体調不良・価値観の崩壊など常識を超えた症状に陥ることがあるので、専門家に相談した方が無難。
- SEと似た言葉に「スピリチュアル・エマージェン"ス"」がある。これは比較的穏やかな変化、ちょっとした体調不良が伴う【霊的な発現】のこと。上手に付き合えば健全な霊的成長につながる。
なお、YouTube(Podcast)は今回の文字起こし編集でカットした部分もあります。
なのでこちらも聞いていただけると、より理解が深まります。
※この下に「音声プレーヤー」があります。倍速再生も可能ですし、YouTubeより通信量も少ないし、スマホを画面オフにしても聴けるので便利です。
